「私のなかにブタがいる」
「太るくらいなら死んだほうがマシ」
そんな悲鳴をあげる女性たちの瘦せ願望とは。
摂食障害になった女性たちとの30年余りの交流の軌跡が話題に!
「でも、ダイエットをして人生が変わった。瘦せることが快感なんだ」
さらに、
「摂食障害になったことは後悔していません。瘦せたことで少なからず生きている心地がするのです」
とも。
つまり、彼女たちは瘦せることによって「誇り」や「安心」「快感」さらには「生きている心地」といったものを得ているわけです。これらの要素は人間が生きていくうえで必要不可欠なものであり、そういう意味ではごくごく人間らしい行為ともいえます。
ただ、そのやり方が世間的によしとされないために、瘦せ姫は世の中となかなか相容れないまま、孤立しがちなのです。そんな状況がさらなるストレスを生む、という悪循環。そのつらさが家族や友人、治療者といったリアルな人間関係で理解されないとき、ストレスのはけ口をインターネットにでも求めるしかないのでしょう。
そして、今日も、この瞬間も、インターネットには瘦せ姫の叫びやつぶやきが記録されるのです。
(註1)指揮者として活躍した岩城宏之(1932~2006年)。
(つづく……。※『瘦せ姫 生きづらさの果てに』から本文抜粋記事公開)
【著者プロフィール】
エフ=宝泉薫(えふ=ほうせん・かおる)
1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』などに執筆する。また健康雑誌『FYTTE』で女性のダイエット、摂食障害に関する企画、取材に取り組み、1995年に『ドキュメント摂食障害—明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版。2007年からSNSでの執筆も開始し、現在、ブログ『痩せ姫の光と影』(http://ameblo.jp/fuji507/)などを更新中。
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